「一志会長ブログ」より

勝手にリンクに入れさせて頂いている、長野県歯科医師会長の「一志会長ブログ」ですが、ご自身のHP以上に物凄い頻度で更新をお続けになっております。
金パラ価格は下落傾向にありますが、不安定さやレアメタルの枯渇の問題もあり、真剣に考えなくてはならない問題です。それに対する一志会長のひとつの考察が載っておりましたので、ここでご紹介します。
この他にも興味深い記事満載です。ネットの巡回先のひとつにお勧めします。

円高とブッシュとメタルフリー

http://naganokenshi.blogspot.com/2008/03/blog-post_21.html

 アッシリアヒッタイトペルシャバビロニア、ローマ、秦、漢、隋、唐、明、清、突厥、アステカ、インカ、モンゴル、元、ハプスブルク家、ロシア等々、どんな強大な帝国も光り輝く時には限りがあり、いつか歴史の表舞台から退場していきます。

 周知のように、今、15年ぶりのドル安が進み、一部には1ドル80円台前半まで下落するのではないかと囁かれ、国内の輸出企業の先行きに無視できない懸念を与えています。
 
 実態経済からは乖離した高度で複雑なマネーゲームを開発し、自らに都合のよいルールを構築し、世界経済を支配、混乱させてきた巨大な投資複合体がもたらす歪みが、サブプライム問題と言う信用不安を引き起こし、世界の人々の暮らしに深刻な影響を与えています。

 地球上で最大の軍事力と経済力を誇り、二つの正規軍による全面戦争といくつかの局地的な紛争に同時に対応できる能力を持つアメリカ経済も、とうとう「終りの始まり」を迎えたのではという懸念に、多くの人たちが捉われています。

 9.11を契機に、アルカイダとの連携を理由に始めたイラク戦争でしたが、その政治的な正当性は今では失われています。

 アフガニスタンイラクも、もたらされた物は混乱と暴力と恐怖と憎しみだけであり、弱い立場の人々が踏みにじられ続け、いまだに明るい安定した将来への展望が見えてきません。

 後世の歴史家から見れば、ベクテルなどの軍産複合体エクソン、モービル、ガルフ、テキサコなど、いわゆるセブンシスターズと呼ばれる国際石油資本の我欲のために自作された悲劇の戦争と記述されるかもしれません。

 現在、ブッシュが引き起こした戦争のつけは、廻り廻って金価格の高騰という形で、私たち日本の歯科医療を圧迫しています。

 日本では、厚労省は一年に二回、金の実勢価格を参照にして保険材料としての金価格を評価し、保険点数に反映させる仕組みになっています。しかし、市場の金価格の高騰は予想を超えたものであり、若干低めに設定される保険点数としての金価格と実際の購入価格との差は、零細な個人事業主が主体である歯科医院が負担する形となっています。

 実際、平成20年3月18日現在、過去一ヶ月の金価格は1グラムが3,216円から3,476円で推移しており、保険内診療で大きなブリッジを製作した場合、赤字になる可能性があります。

 本当は高級なお寿司屋さんのように、日々変わる原材料価格を反映した保険点数にすることができれば、この逆鞘現象は回避できるのでしょうが、現行の保健医療制度の中では無理な話です。

 そこで、関係者に提案したいのは、この際、保険診療で行なう補綴の主体を、金属からオールセラミックスに切り替えたらどうかということです。

 一見、破天荒な提案に思えるかもしれませんが、経済的な理由だけではなく、金属アレルギーの問題など医学的にもメタルよりも優れた特性が多く、貴金属の市場価格に影響されません。

 最近、市民権を得つつあるジルコニアはフルマウスのブリッジにも対応できますから、あとはインレーやアンレーに使える信頼性の高い材料の目途さえたてば、これからの保険内診療こそメタルフリーでいくべきではないでしょうか?


 そのためには、国家政策として、現在のようなとてつもなく高額なオールセラミック供給体制ではなく、より安価ですぐれた材料とシステムを開発する必要があります。国内のすべての歯科理工学講座の存在意義はこのような問題を解決するためにあるのではないでしょうか?

 広域医療圏の中に、中核となるマニシングセンターを設営し、保険診療で用いるジルコニアブロックは厚労省が供給する体制を組めば、十分採算ベースに乗せることができます。

 もちろん保険外診療で行なわれる高度な審美性を追及する芸術品のような冠のレベルではなく、あらかじめ5種類くらいに設定されたカラーブロックからの削りだしで製作したモノカラーで十分であるとします。

 いわば自由診療で製作するオールセラミッククラウンやブリッジはオーダーメイドの高級紳士服、保険診療で製作するものはユニクロのポロシャツのような信頼性は高いが実質本位のカジアル仕様に徹すれば、お互いに共存することが可能であり、関連業界の利益を侵すこともありません。

 我々、歯科業界に国際資本と金やパラジウムなどのレアメタル市場で争う力はとうていないわけで、国民の健康と福祉と医療経済の安定化のために、ただの妄想としてではなく、ひとつの前向きな可能性として、関係する諸氏に保険診療のメタルフリー化をご検討いただきたいと願っています。

ジルコニアはその硬度の高さゆえ、対合歯との咬合などに気を使うことも多いでしょうが、メタルフリーと言う考え方自体は一考に値するものと思います。ただ、ジルコニアの場合は、合着にレジン系セメントが必須と思われます。結構、このレジン系セメントが口腔内のアレルギーでのアレルゲンであることが報告されていたとも思いますので、一概にジルコニアだからアレルギーはなくなるとも言えないなどと生意気に書いてみたりします(笑)。
あくまで、総論としては反対ではないですけどね。

ついでに、こんな動きがあることも載せちゃいましょう。


■ 小規模県歯「パラの価格変動で日歯に要望」
 
□ 迅速に対応できる仕組に変更を

  19県歯で構成する平成19年度小規模県歯科医師会役員懇話会が2月
 28日、新歯科医師会館で開催され、「歯科用基金属材料の随時改定を金
 銀パラジウムの価格変動に迅速に対応できる仕組みに変更すること」を求
 めた要望書を採択し、大久保満男日歯会長に送付した。

  要望書では・・▽金銀パラジウム合金価格は約2年間にわたり逆ザヤ現
 象が生じ、19年1月以降は逆ザヤの額はさらに増大していること、▽現
 行の6ヶ月ごとの随時改定時における補正幅の算式では、算出期間が前回
 改定以降と定められていること、▽合金素材価格の変動率が10%以下で
 は改定が行われず、その試算期間は前回改定実施以降なので1年もしくは
 1年6ヶ月以降になることがあり、国際的価格変動に対し、必ずしも6ヶ
 月ごとの対応ができていない状況にあること・・以上の現行制度の問題点
 を指摘、その上で、次の2項目について要望した。

 <1>歯科用基金属材料の随時改定について、金銀パラジウムの価格変動
 に迅速に対応できる仕組みに変更されたい。
 <2>金銀パラジウム合金に代わる歯科用保険医療材料の開発・研究を進
 められたい。

  ☆詳細内容は[ IDN 歯科医師会関連情報 ]でどうぞ ▼ 12日更新
  http://www.independent.co.jp/dan/