歯科診療報酬疑義解釈 その2

日歯広報 第1441号より


【初診・再診料】

(問1)歯科外来診療環境体制加算は、初診料の算定がない場合は算定できないと考えてよいか。


(答)その通り。

(問2)「歯科疾患総合指導料」を算定し、当該指導料に係る治療計画期間及び治療計画に基づく一連の治療が平成20年3月31日以前に終了した場合、終了日から起算して3月を経過していない患者が平成20年4月1日以降に再度受診した場合は初診料の算定は可能か。


(答)「歯科疾患総合指導料」を算定し、当該指導料に係る一連の治療平成20年3月31日以前に終了した場合終了日から起算して3月を経過していない場合は、再診扱いとする。ただし、当初の治療計画の傷病とは異なる外傷等の新たな疾患が生じた場合はこの限りではない。

(問3)「歯科疾患管理料」を算定し、管理計画書に基づく治療が終了した日から起算して2月を経過するまでは初診料は算定できないとあるが、治療終了後2月以内に予想しなかった外傷等により当初の管理計画の対象となっていた疾患とは異なる疾病が生じた場合は、初診料又は再診料のいずれにより算定するのか。


(答)当初の疾患管理を行った時には、予想しなかった外傷等の新たに生じた疾患については、当初の初診より1月以上経過している場合は初診料を算定して差し支えない。なお、この場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に当初の初診日及び改めて初診料を算定した理由を記載すること。

【医学管理】

(問4)二回目以降の歯科疾患管理料は、初回用の管理計画書を提供していない場合(一回目の歯科疾患管理料を算定していない場合)は算定できないのか。


(答)その通り。

(問5)無歯顎の患者の総義歯の不適合等を原因とする粘膜異常の治療を行っている場合は、歯科疾患管理料の算定は可能か。

(答)無歯顎の患者の総義歯を原因とする粘膜異常の管理については、歯科疾患管理料の対象とならない。ただし、軟膏等薬剤による治療が必要な口腔粘膜疾患等(歯科疾患特定療養管理料の対象疾患をのぞく)を有している患者であって、現に治療を行っている場合は算定できる。

(問6)新製有床義歯管理料を算定した場合であって当該義歯を装着後、1年を経過していない期間に義歯の調整等が終了した後、義歯の不適合等により初診が算定できる場合、義歯の調整等を行った場合は、いずれの義歯管理料により算定するのか。


(答)新製有床義歯を装着後1年を経過していない期間に義歯の調整等が終了後、新たに初診料を算定し義歯管理を行った場合は、必要に応じて有床義歯管理料を算定する。

(問7)平成20年3月に新製有床義歯を装着した場合、(1)4月1日以降に装着後1月以内の義歯の管理を行った場合、新製有床義歯管理料を算定して差し支えないか。(2)3月以前に装着した義歯の有床義歯管理料および有床義歯長期管理料の取り扱いは如何に。

(答)(1)新製有床義歯管理料は、平成20年4月1日以降において、新たに製作した有床義歯を対象とするものであるが、平成20年3月に新たに製作した有床義歯に係る新製義歯調整指導料または新製義歯調整料を算定していない場合は、平成20年4月1日以降であって、当該義歯の装着日後1月以内において、算定要件を満たす場合は、新製有床義歯管理料を算定して差し支えないものとし、この場合の有床義歯管理料および有床義歯長期管理料は、当該有床義歯の装着日から起算して算定する。(2)平成20年3月31日以前に装着された新製有床義歯について、同一初診中であって平成20年4月1日以降において行った義歯の管理は、前記(1)の場合に該当しない場合は、必要に応じて有床義歯管理料により算定する。

(問8)他院で製作した保険診療の対象となる義歯の修理等を行い義歯管理を行った場合は、当該義歯の装着日にかかわらず有床義歯管理料を算定して差し支えないか。

(答)差し支えない。

【在宅歯科診療】

(問9)訪問診療において歯科訪問診療料を算定した場合は、基本診療料の加算となっている時間外、深夜および休日加算は算定できないか。

(答)算定できない。

(問10)歯科訪問診療料の「注4」に「(1回目の歯科訪問診療を行った場合であって、当該患者が歯科治療環境に円滑に適応できるような技法を用いた場合は、250点)を所定点数に加算する」とあるが、この1回目は患者の傷病に係る診療継続期間において最初に歯科訪問診療を行った日と解釈してよいか。

(答)1回目に歯科訪問診療料を算定した日をいう。なお、1回目に歯科訪問診療を行ったが、算定要件を満たさず初診料を算定した場合であって、患者が歯科治療環境に円滑に適応できるような技法を用いた場合は、区分番号A000に掲げる初診料の「注6」に規定する加算により算定する。なお、当該加算はいずれか1回に限り算定できるものとする。

【処置】

問11)抜歯の伴う投薬の必要性如何。

(答)投薬は必要に応じて行うもの。

(問12)咬合調整は1口腔単位で算定するのか。


(答)歯周疾患または歯ぎしりの処置のために行う歯の削合等通知で示した各々の場合に、1口腔単位で算定する取り扱いである。

(問13)非侵襲性歯髄覆罩の算定に当たっての対象病名は何か。


(答)CまたはPulが考えられる。

(問14)齲蝕処置について、抜歯禁忌症で義歯作製の必要上やむを得ず残根歯の削合のみを行う場合は、歯数に応じて1回に限り算定するとの取り扱いであるが、この「歯数に応じて1回に限り」とは1歯1回を単位とするのか。

(答)齲蝕処置の費用は、1歯1回を単位として算定する取り扱いである。

(問15)齲蝕処置と非侵襲性歯髄覆罩は同時に算定できるか。


(答)同時に算定する場合があり得る。

(問16)歯周病安定期治療に咬合調整は含まれるのか。


(答)含まれる。

(問17)平成20年3月31日以前に歯周組織検査により歯周病が安定していると判断された場合、4月1日以降に継続的な疾患管理を行っている場合、歯周病安定期治療を開始した日とはいつのことをいうのか。

(答)平成20年4月1日以降に最初に歯周病安定期治療を行った日から起算する。

(問18)歯周病安定期治療を開始した以降は、歯周基本治療および歯周疾患処置は算定できない取り扱いであるが、病状の変化等必要があって歯周ポケットに特定薬剤を注入した場合は、歯周疾患処置および特定薬剤料を算定できるか。

(答)歯周病安定期治療を開始した以降に実施した歯周基本治療および歯周疾患処置の費用は算定できない。特定薬剤料のみの算定となる。

(問19)スケーリングは歯周病に罹患している部位か否かにかかわらず、口腔内の全顎にわたって実施することが必要か。


(答)スケーリングは歯周病に罹患している部位に対して適切に実施するものである。

【麻酔】

(問20)静脈内鎮静法に併せて実施した経皮的動脈血酸素飽和濃度測定又は非観血的連続血圧測定の費用は算定できるか。

(答)算定要件を満たした場合は、必要に応じて実施した経皮的動脈血酸素飽和濃度測定又は非観血的連続血圧測定の費用は算定できる。

(問21)静脈内鎮静法の算定に当たって、レセプトの摘要欄に記載が必要となる事項は何か。


(答)静脈内鎮静法が必要な理由を記載する。

【歯冠修復および欠損補綴】

(問22)齲蝕歯無痛的窩洞形成加算については、レセプトの摘要欄に実施した部位を記載するとあるが、実施した部位が傷病名欄の記載から特定できる場合は摘要欄への記載を省略しても差し支えないか。

(答)実施した部位が傷病名欄の記載から特定できる場合は、摘要欄への記載を省略しても差し支えない。

(問23)実際の欠損歯を反映した歯式では保険給付外となるブリッジで、欠損部の間隙が1歯分少ないようなブリッジを算定する場合の取り扱い如何。

(答)「ブリッジについての考え方2007」を参考にすれば、実際の欠損部を反映した歯式では保険外給付となっていたものであっても保険給付の対象となり得る例がある。ただし、この場合は欠損部の保険適用の有無を確認する必要があることから、理由書、模型およびX線フィルムまたはその複製を地方社会保険事務局に提出する必要がある。
 ただしM017ポンティックの(19)「中切歯が他のブリッジの支台で新たに支台として使用できない場合」および(20)「犬歯の低位唇側転位で2・3あるいは3・4の2歯欠損において間隙が1歯分」で示したレセプトの摘要欄記載により保険給付の対象としている場合は、この限りではない。

(問24)同一初診中における有床義歯の修理の算定回数の取り扱い如何。

(答)歯科医学的に妥当・適切に行われた有床義歯の修理の費用は、必要に応じて算定できる。

(問25)同一初診中における有床義歯床下粘膜調整処置の算定回数の取り扱い如何。


(答)歯科医学的に妥当・適切に行われた有床義歯床下粘膜調整処置の費用は、必要に応じて算定できる。
【施設基準】

(問26)歯科外来診療環境体制加算または在宅療養支援歯科診療所の施設基準に係る研修については、研修をすべて終了していることが確認できる文書を添付することとなっているが、この「確認できる文書」とは具体的に何をさすのか。

(答)研修の受講証、終了証、研修に係る支払書、その他受講していることが確認できる資料をいう。なお、高齢者の心身の特性、緊急時の対応および高齢者の口腔機能管理の在り方(管理計画の立案等を含む)を含む研修については速やかに追加して受講することが必要であり、受講後は、受講したことが確認できる文書を添付して地方社会保険事務局長に届け出ることとなっているが、この「確認できる文書」についても同様である。

(問27)歯科外来診療環境体制加算および在宅療養支援歯科診療所の施設基準の用件となっている研修について、医療機関による勉強会等いわゆるスタディグループにより実施された研修は該当するのか。

(答)研修の実施主体については、国および地方自治体のほか、日本歯科医師会都道府県歯科医師会および郡市区歯科医師会、関係学術団体等、研修事業の実績があり、定款または規約等により団体概要や活動が確認できる医療関係団体をいい、医療機関による勉強会等のスタディグループ、関係学術団体等の学術会議(学会報告等を行う総会、分科会等)、関係団体の連絡協議会および同窓会等によるものをいうものではない。

(問28)歯科外来診療環境体制加算または在宅療養支援歯科診療所の施設基準の要件となっている研修は、いつ頃に開催された研修をいうのか。

(答)研修の開催時期について、歯科外来環境体制加算に係る施設基準の要件となっている研修にについては、届出日から3年以内のものをいい、また在宅療養支援歯科診療所に係る施設基準の要件となっている研修については、届出日から4年以内のものをいう。

(問29)歯科外来診療環境体制加算の施設基準を届出に当たっては、当該施設基準の用件になっている機器をリース契約により設置している場合の取り扱い如何。

(答)リース契約期間においてのみ要件を満たすこととなり、届出に当たってリース契約期間を確認できる文書の添付が必要となる。


厚労省のHPには未だアップされていませんが、「日歯広報」に出ていたわけですから正式な発表と見て良いのでしょう。それでも、もうレセプト提出してしまった先生方が大半だと思います。厚労省の発表を持って「疑義解釈」のルールは効力を持つとすれば、4月のレセプトは適応外?
それにしても、厚労省発表より日歯の発表が先って、今まであったのかな?不思議だ・・・

とか言っているうちに、厚労省から5月12日付けで正式な発表があったようです。

     http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/03/dl/tp0305-1dg.pdf

内容は同じですね。