日歯メールマガジン-[No.062 08/07/07]より

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2》コラム<テイク・オフ>
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■終身会員制度について
 日本歯科医師会副会長 堤 直文

 日歯の機構改革検討委員会で、日歯における制度・事業・組織について改め
ることは何かを検討してきた。

 その中で、10年前から定款等改正臨時委員会などの歴代の各委員会から答申
されている事項のうち、さらなる検討と具体的推進がいまだになされていない
ものがある。

 そのひとつが「終身会員制度」で、これまでの答申書では、終身会員にも
「一部会費負担を求めるべき」と明記され、会費免除年齢の引き上げの必要性
とともに、終身会員年齢の75歳までの引き上げが示されている。

 今回の委員会でも、「定款に記された終身会員の年齢を引き上げ
(定款改正)、会費の免除年齢を引き上げる」との答申を受けた。

 この答申を受け、執行部でも10年後に急増する終身会員の数を見据えながら、
さらなる検討を行っていきたい。

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3》JDAウィークリー
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■大久保会長コラム「会意」
 矛盾に満ちた骨太の方針

 この度、「骨太の方針2008」が閣議決定されました。我々の最大の関心は社
会保障費削減政策からの転換が明記されるかどうかでしたが、極めて残念なこ
とに、従来の骨太の方針を堅持することになりました。

 これについて政府は、医療の厳しい現状を認識してはいるが、「財政再建
よる改革」の旗を降ろすことはできないと説明しています。しかし、逆に「医
療費削減策からの転換という改革」を実施した方が国民からの支持を得られる
と思います。

 今回の「骨太」を読むと、まず「改革のポイント」の1番目に、「これまで
行ってきた歳出改革の努力を決して緩めることなく、引き続き『基本方針2006
』、『基本方針2007』に則り、最大限の削減を行う」とあります。この原案が
事前に自民党の中で示された時、自民党議員から「これ以上の医療費削減は容
認できない」という声が一斉に起こり、閣議決定では医療に取り組む姿勢が書
き加えられたと聞き、それは評価したいと思います。

 しかし、方針の骨格は、依然として経済界の主張を汲んだものだと言えるで
しょう。

 少し具体的に見ますと、今回の骨太の方針の第5章「安心できる社会保障
度、質の高い国民生活の構築」の「1.国民生活を支える社会保障制度の在り
方等」における「改革のポイント」に、「社会保障サービスや供給体制につい
て、ムダや非効率がないか全般にわたる見直しを行いつつ…」とあります。
実は、このムダや非効率という考え方が骨太の方針を作る経済財政諮問会議
医療に対する基本的な態度
だと思います。

 この態度は、諮問会議の民間議員から6月10日に出された「社会保障の徹底
した効率化努力を」の中にも表れています。要約すれば、「医療には急ぎ対応
する課題があるが、だからと言って現行制度の効率化に向けた努力の必要性は
なくならない」「09年度予算においても、社会保障の伸びを圧縮すべく最大限
の削減を行うべき」とあります。

 とすれば、今回の骨太の方針は読み込むほど、矛盾に満ちたものだと言わざ
るを得ません。つまり、医療・歯科医療の崩壊という現状に軽く触れながら、
一方で、制度にムダがあるからそれを徹底的に削減せよと迫る。
ここまで医療
費を削ってきて、どこにムダがあると言うのか、到底納得できるものではあり
ません。

 これ以上削減を続ければ、医療は完全に息の根を絶たれるという現状にあっ
ても、その認識を本方針からほとんど感じることができないことに、危機感を
超えて絶望感を抱くという思いに駆られます。

 しかし、絶望からは何も生まれません。結論を言えば、以前、本コラムで
ポイント・オブ・ノーリターン(帰還不能点)」について述べました。今ま
さに医療・歯科医療はその一点を超える寸前にあります。ここで何とか踏みと
どまり、国民のためのより良い医療制度の再生のために、歯科界が一丸となり、
我々執行部はその先頭に立って全力を挙げて取り組んで参ります。

■7地区制への変更議案を代議員会に上程へ
 第3回理事会

 第3回理事会が6月26日、新歯科医師会館で開催され、現行の10地区制から7
地区制に変更する方針
を固めた。9月11日、12日の両日に開催される第161回代
議員会に議案として上程する。

 また、機構改革検討委員会から答申されている終身会員のあり方について
は、現行の70歳から75歳に引き上げる方針を確認した。

■最大限の歳出削減行う
 “骨太の方針2008”閣議決定

 政府は6月27日、経済財政改革の基本指針となる「骨太の方針2008」を閣議
決定した。

 最大の焦点であった社会保障費の自然増分2200億円の圧縮は明記されなかっ
たが、来年度予算編成では「最大限の歳出削減を行う」として、一昨年度から
続く2011年度での国・地方の基礎的財政収支黒字化に向けた歳出削減路線を堅
持。引き続き厳しい状況下に置かれていることが示唆された。

 ただ、医師不足長寿医療制度後期高齢者医療制度)の運用改善等の重要
課題に対しては、道路特定財源一般財源化なども含め、別枠で捻出すること
も明記
した。