第160回日歯代議員会会務報告に対する質疑応答


会務報告に対する質疑応答

1.レセプトオンライン化の導入に対して,レセプトベンダー間におけるレセプト電算処理システム共通化,また行政からの財政面の補助についての今後の見通しについて質したところ,理事者より,医科や調剤に比べ歯科のレセプト電算化は遅れている。現在レセコンを導入している会員はベンダーとの個々の契約であり,価格に格差はある。
本会としてはニーズおよびレセコン開発・運用・サポートまでを含めた費用対効果等を検討し,必要不可欠かつ実現可能であれば平成20年度中にオンライン対応のレセコンソフトの開発に着手することとなるが,それにより既存のベンダーの経営を圧迫しては,そのレセコンソフトを使用している会員混乱をきたすことになりかねないため十分に配慮していく。
オンライン化の費用に関する問題は,日本歯科医師会レセプトオンライン請求の対応に関するマスタープランにも掲げてあるが,導入するにはかなりの費用が発生する。
強制的に導入するならば,財政的支援は不可欠であり,このことについては日本医師会等関係機関とも連携をとっていく。
今後は手上げ方式の一方で,本会の基本的考え方を検討しながら,23年までに混乱を来たさないよう対応してきたい旨回答があった。
ベンダーはレセコンの情報を開示するのか,もしくは聞き出す方策を日歯は考えているかと質したところ,理事者よりベンダーが持っている情報を入手するのは困難。
本会がレセコンソフト開発に向けて検討することは既に示しており,各方面へ影響を与えることになる。
そこで現在,日本総合研究所へ実現可能性等に関して調査を依頼中であり,その調査結果を受け,引き続き検討していく旨回答があった。
既に支払基金国保,保険者では,レセプトオンラインの義務化という既成の事実を基に動いている以上,省令を改正して,手あげ方式に変更できる余地があるのか。また,レセプト情報について健診の情報と突合することについて,法的根拠はあるのかと質したところ,理事者より,省令とは法令の一部であり変えられないことはないと認識しているが,現実問題として難しい。
ただし本会としてはオンライン化に対応できない会員のためにも,紙ベースでの請求は必要であり,代行請求の条文については日医でも省令改正を求めるとしており,本会も同様に対応していく。また,レセプト情報の法的根拠は高齢者の医療の確保に関する法律にあるが,医療機関,患者にとって極めて重要な個人情報であるため慎重に取り扱うべきであるとのことは厚生労働省とも共通の認識であり,本会としては紙レセプト以上の情報は出さないという基本的考え方を崩さず対応してきている旨回答があった。

2.公益法人改革に伴う代議員制と福祉共済の取り扱いの見通しについて質したところ,理事者より,日本医師会日本薬剤師会内閣府法務省と打合せを行っているところである。
代議員制については,代議員を社員とし,代議員会を社員総会として位置づけることについて,現在検討が行われているところであるが,その場合の会員をどのようにするかが課題となっている。
今後どのような形で公益認定等委員会のガイドラインに盛り込まれるかは未定である。
本会としては,4月以降にガイドラインが出来次第対応していくこととしている。
また,福祉共済については,金融庁とも相談している旨回答があった。

3.代議員と選挙人による会長選挙の在り方について質したところ,理事者より,前回はあくまで暫定的に実施したものであった。昨年の第159回代議員会において,次回の選挙は前回同様の方法で執り行うことを確認いただいたところであるが,次々回の平成23年4月からの執行部選出にむけた役員選挙では,公益法人制度改革を踏まえた規則改正も迫っており,関係方面の意見をいただきながら,現在の方法を継続すべきなのか,新しい選出方法とするべきか等を検討していきたい旨回答があった。
なお,本特別委員会としては,選挙人の選出方法にあたっては,ただ単に都道府県歯科医師会に一任するのではなく,前回の選出方法の状況を把握した上で,複数の選出方法を示すべきではないかとの要望を行った。

4.次期診療報酬改定に対する日本歯科総合研究機構の活動について質したところ,理事者から,診療報酬に直結することとして後期高齢者の心身の特性等や機能評価等の研修を要件とされる可能性があり,歯科でも同様な研修が必要ではないかとのことから,現在研修の実施に向けて研修教材の作成などの準備を進めている。
また,歯科医療白書2008年度版の発行を準備しており,さらに中医協の医療経済実態調査と同様な調査を本会独自で行っている。
この調査は個票に戻って細かい分析ができるので,客員研究員とともに本会独自の調査の見直しを含めて検討し,中医協および厚生労働省との対応に活用していきたい。
また,研究機構で様々なデータの集積を行っており,データの分析を行い,厚生労働省との折衝にあたることとしている旨回答があった。
さらに,本特別委員会は後期高齢者についての研修会について日歯が会員に対して行うと考えていてよいのか,また非会員も対象とするのかと質したところ,理事者より,日本医師会との関連もあり,基本的スタンスは本会が研修会を開催し,会員のみを対象としていきたい旨回答があった。

5.前回の第159回代議員会で決議した会員の除名処分が第115回通常総会で否決された件の今後の対応について質したところ,理事者より,定款上は臨時代議員会,臨時総会を招集する等の対応は可能であるが,現在,本会の機構改革を図るために関係各方面と話し合いを行う等対応するとともに,定款等改正臨時委員会に裁定に関する定款並びに関係諸規則の見直しについてご審議をお願いしているところである旨回答があった。

6.各専門分科会・認定分科会には日歯会員の浄財が拠出されている。
よって,日本歯科医学会に対し,専門医・認定医の認定については日歯会員に限ることを規定する働きかけを行って欲しい旨の発言があった。
これに対し理事者より,日本歯科医学会でも本件については日歯会員であることが望ましいとの考えがある。
しかし,専門分科会・認定分科会には歯科医以外の会員も在籍することから,定款上で規定するのは難しいと考えるが,引き続き働きかけていく旨回答があった。

7.政管健保の歯科保健モデル事業について,今後は公募により選定すると明記されているが,健診事業を歯科医師会に限らず,民間団体にも拡大するという解釈でよいのか,また日歯としてはどのように考えているのかと質したところ,理事者より,社会保険庁の方針として原則として18年度までに同事業を実施した地方社会保険事務局が公募するとされたものであり,歯科医師会以外の参入の道が開かれたことは事実である。国の方針に従い,都道府県歯科医師会には早めに応募する対応をお願いしている旨回答があった。
特定健診・保健指導について,新潟県では歯科医師会,医師会等で支援機構を立ち上げ,健診項目に咀嚼機能試験,潜血判定試験を行うことを決定しているが,本体で認められていないためオプションとして取り扱うことになる。
日歯としては今後健診項目についてどのように対応していくのか質したところ,理事者より,咬合機能の客観的評価について検証していくことが現在の課題であり,その結果を元に検討していきたい。実施結果データを提供していただき活用させて欲しい旨回答があった。

8.民主党・前原議員より,12月27日に歯科健診などの「歯科医療向上に関する質問主意書」が提出され,それに対し,1月11日に厚生労働省が文書により回答している。
その内容について,日本歯科総合研究機構や議員連盟などで協議して欲しいと質したところ,理事者より,1月29日に立ち上がった歯科の議員連盟において,成人・労働者の歯科健診など生涯を通じた歯科健診の必要性について検討を要請した。
質問主意書に対する回答は,政府の正式回答となるため,慎重を期してまいりたい旨回答があった。

9.10月の社会保険庁の解体に伴う改革で,地方厚生局のブロック編成も変更になるのか。変更になった場合,歯科医師会の連絡協議会とのブロック分けが異なってくるが,状況はどうなっているのかと質したところ,理事者より,もともと国が定めている行政圏と歯科医師会の地区制は異なっている。
本会でも地区制の変更を検討しているところだが,今後も国の行政圏とは異なる。
したがって今後も行政圏と区別して,従来どおりのブロックで連絡協議会等を行ってはどうかとの回答があった。

少々話題的には古いですが日歯雑誌の6月号に載っていたので仕方が無い。