6月の日歯連盟定例記者会見より

日本歯科医師連盟は6月20日,東京・市ヶ谷の新歯科医師会館において定例記者会見を開催し,口腔保健法(仮称)の議案化や社会保障費の2,200億円マイナスシーリング撤廃の要望書を自民党に提出するなどの説明を行った.

口腔保健法(仮称)策定

 口腔保健法(仮称)策定について永山一行会長は,「国民の健康を守るための法案であり,今後もしっかりと協議して作っていきたい」と述べ,日歯,連盟,石井みどり参議院議員によるワーキングチーム,打ち合わせ会で協議し,7月末までにはその内容を自民党に報告,早ければ秋の臨時国会への提出を目指すとした.民主党から提出された口腔保健法案が廃案となったことについて,永山会長は,「歯科保健の改善策を政党間の争いに使うべきではない」と述べ,あくまで国民のためになる基本法を作ることを強調した.

マイナスシーリング撤廃の申し入れ書を自民党総裁

 6月末に閣議決定される予定の「骨太の方針2008」について福田内閣は,社会保障費などの歳出削減を貫く格好だが,永山会長は「国民の健康維持を考えた場合,社会保障費を削っていくことは間違いである」という見解を示した.さらに,改革を中断することで支持率が低下し,政権交代につながることを福田首相は危惧しているのかもしれないが,むしろマイナスシーリングを撤廃することで支持率は上がるのではないかと述べた.そして連盟は,同日の理事会で自民党にマイナスシーリング撤廃の申し入れ書を提出することを決め,「骨太の方針2008」が出される前に自民党総裁もしくは三役に手渡しする方針を固めた(6月24日提出済).

次期参議院選挙候補者

 日歯連盟は次期参院選候補者を現在選考中であるが,「日歯連盟が,ある特定の人物を推しているのではないか」という噂が立っているとし,永山会長は「そのようなことは決してない」と強く否定.選考委員には学閥・地域閥に関係なく候補者を選出してもらっているところであり,9月の評議員会で認められた候補者を何としても当選させたい,と述べた.

(2008.06.25)
http://www.hyoron.co.jp/index.html?=top.html#Anchor-11481

骨太の方針医師不足など重点化 諮問会議原案策定

 政府の経済財政諮問会議(議長・福田康夫首相)は23日、福田政権で初の経済財政改革の基本方針「骨太の方針08」の原案をまとめた。09年度予算編成に向けて総論として「最大限の歳出削減」の方針を示したが、医師不足対策や救急医療を重点課題と位置付け、従来の社会保障の抑制目標から外して「聖域化」した。「社会保障の新たな歳出は、他分野の歳出削減で捻出(ねんしゅつ)」としたものの具体策は示さず、消費税増税の議論も事実上、今後の政府・与党協議に先送りした。

 大田弘子経済財政担当相は会見で「医師不足、救急医療のたらい回しが起きている。医療の本来の機能を損なってまで財政が健全化されれば良いということはない」と、背景を説明した。

 社会保障分野では基礎年金の国庫負担の2分の1までの引き上げなど、巨額の財源が必要となる制度改革が控えている。骨太08は、歳出削減だけでは手当てし切れない財源について「安定財源を確保し、将来世代への負担の先送りは行わない」と強調した。しかし、消費税増税も含めた税制の抜本改革については「早期に実現を図る」とするにとどめ、具体的な対応は政府・与党の協議に委ねた。

 教育分野では新たに「幼児教育の将来の無償化」検討を盛り込んだ。ただ、財務省文部科学省が対立する教育予算全体については調整がつかず、27日に予定する「骨太08」の閣議決定時までに再調整することになった。

 このほか、原油価格高騰を踏まえ、中小企業や農林水産業運送業などへの新たな対策を実施するとした。【尾村洋介】
http://mainichi.jp/life/money/news/20080624k0000m010113000c.html

骨太の方針08(原案)の骨子◆

・11年度に国・地方の基礎的財政収支を確実に黒字化

・09年度予算は国・地方を通じて最大限の歳出削減を行う

医師不足少子化に対応、後期高齢者医療制度の運用改善

・将来の幼児教育の無償化を検討

・消費税を含む税体系の抜本改革の早期実現

・09年度に道路特定財源一般財源化。低炭素化促進のため環境税を含め税制全般見直し

・国際状況を念頭に法人の税負担水準の引き下げ検討

骨太の方針08:自民が了承 政府、27日に閣議決定

 自民党は26日、臨時の総務会を開き、福田政権では初めてとなる政府の経済財政運営の指針「骨太の方針08」を了承した。政府は27日に閣議決定する方針だが、骨太の方針の歳出削減路線を巡る党内の反発は収束しておらず、政府からは「暴風雨のような歳出圧力」(大田弘子経済財政担当相)との悲鳴すら上がる。族議員は攻防の主戦場を年末の予算編成と見定めており、火種を抱えたままの見切り発車となった。

 「大変、評価に値するものだと思っている」。自民党二階俊博総務会長は26日、総務会後の記者会見で、「骨太の方針08」をこう持ち上げたが、同時に「弾力的な対応が必要だったり、速やかに手を打つべき問題は、予算編成で対応する。それが必要だ、という認識も我々の底流にある」とクギを刺すことも忘れなかった。

 今回の骨太の方針を巡る党内論議で、族議員からの攻撃の的になったのが、国と地方の歳出について「最大限の削減を行う」との文言だった。

 25日の政務調査会の全体会合は、この文言の削除論が噴出。削減路線の堅持派との激しい綱引きを演じ、怒号が飛び交った。

 出席者の一人は「歳出削減に農業、林業、漁業は悲鳴を上げている。『最大限』と書かれたら、徹底的に削減すると受け取られる」と削除を要求。「これでは自民党はすべての支持団体を失う」「選挙にならない」との声が相次いだ。

 矢面に立った谷垣禎一政調会長は「必要なものは弾力的にやる。この表現を動かすと、財政再建路線を放棄したことになってしまう」ととりなしたが、「財務省の言うことばかり聞くな」などとかえって反発に火が付き、最後は「皆さんの気持ちは福田首相に伝える。私に任せてください」と繰り返し「一任」をやっと取り付けた。

 このような経緯からして、歳出路線を巡る異論がこれで収束したわけではなく、8月の概算要求や年末の予算編成作業での綱引きの再燃は避けられない見通しだ。【三沢耕平】

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080627k0000m010066000c.html